Clásicos japoneses con furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lee 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.414 caracteres · 289 pantallas
そして今日という暗澹たる此方の境から花やかな昨日という彼方の境を打眺めて見ると、わが生涯というものは今や全く過去に属して已に業にその終局を告げてしまったものとしか思われない。何一ツ将来に対して予期する力のなくなった心のほどのいたましさは己が書斎の書棚一ぱいに飾ってある幾多の著作さえ、それらは早何となく自分の著作というよりはむしろ既に死んでしまった或親しい友人――その生涯の出来事を自分は尽く知り抜いている或親しい友人の遺書であるような心持がする。
種彦は日ごと教を乞いにと尋ねて来る門弟たちをも次第々々に遠ざけて、唯一人二階の一間に閉籠ったまま、昼となく夜となく、老眼鏡の力をたよりにそもそも自分がまだ柳の風成なぞと名乗って狂歌川柳を口咏んでいた頃の草双紙から最近の随筆『用捨箱』なぞに至るまで、凡て立派な套入にしてある著作の全部をば一冊々々取出して読み返しつつ、あああの双紙を書いた時分には何をしていた。ああこの物語を書いた頃には自分はまだ何歳であったかと徒に耽る追憶の夢の中に、唯うつらうつらとのみその日その夜を送り過した。宛ら山吹の花の実もなき色香を誇るに等しい放蕩の生涯からは空しい痴情の夢の名残はあっても、今にして初めて知る、老年の慰藉となるべき子孫のない身一ツの淋しさ果敢さ。