Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あめしょうしょう

雨瀟瀟・雪解 他七篇

永井 荷風

Lee 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.414 caracteres · 289 pantallas

Aozora Bunko

或夜重吉はもう来ないと思った檀那の杉村が突然格子戸を明ける音に、びっくりして裏口から逃出すと、外は寒い風が吹いている。しかし八丁堀の通には夜店が出ていて人通りも賑かなので、知らず知らず歩いて桜橋まで来ると、堀割の彼方に銀座の火影が遠く空一帯を彩どっている。また知らず知らず京橋まで来ると燃えるような燈火と押返すような人通りの間から、蓄音機の軍歌と号外売の声とが風につれて近くなったり遠くなったりして、雑沓する夜の街の心持を一層きびしくさせている。橋を渡りながら、重吉は上海事変の号外よりも、お千代が初めて銀座通で頭の禿げた杉村の袖を引いた時のことを想像した。つづいて杉村の醜い容貌と、お千代がさしてこれを厭う様子もなく歓遇しているありさまとを思浮べ、女の性情ほど変なものはないと思った。重吉はこの年月仲間の女や媒介業の老婆などの陰口を聞いて、お千代がお客に好かれる訳合いを能く知っていたのであるが、しかしそれは要するに噂に聞くばかりの事で、直接お客の面貌を見知った後お千代のこれに対する様子をはっきり窺い見る事を得たのは今度始めて妾宅へ引移ってからの事であった。