Clásicos japoneses con furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lee 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.414 caracteres · 289 pantallas
独居の生涯は日頃人一倍気楽なかわり病に臥した折の不自由もまた人一倍である。それもいっそぐっと寝就いてしまうほどの重患なればとやかくいう暇もないが看護婦雇うほどでもない微恙の折は医者の来診を乞う折にもその車屋にやるべき祝儀も自身に包んで置かねばならず医者の手を洗うべき金盥や手拭の用意もあらかじめ女中に命じて置かねばならぬ。養痾のためにかえって用事が多くなるわけなので風邪引かぬ用心に寒気を恐るる事は宛ら温室の植物同然の始末である。
その年はやはり凶年であった。日頃の用心もそのかいなく鳥啼き花落ちる頃に及んでかえって流行感冒にかかりつづいて雨の多かったためか新竹伸びて枇杷熟する頃まで湯たんぽに腹あたためぬ日とてはなく食事の前後数うれば日に都合六回水薬粉薬取交ぜて服用する煩わしさ。臥して書を読もうにも繙く手先早くつかれ坐して筆を把ろうにも興を催すによしなく、わずかに書肆の来って旧著の改版を請うがまま反古にもすべき旧稿の整理と添刪とに日を送ればかえって過し日の楽しみのみ絶え間もなく思い返されるばかり。しばしば朱筆を抛って、
収二拾シテ残書一剰ス二幾篇ヲ一。
軽狂ノ蹤跡廿年前。