Clásicos japoneses con furigana
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きりのばんしゃ
霧の蕃社
中村 地平
Lee 霧の蕃社 (きりのばんしゃ) de 中村 地平 (なかむらちへい) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 28.389 caracteres · 57 pantallas
「自分がやられないうちに、内地人をやっつけなければ……」
かねて心の奥底ふかくに育てはぐくんできた計画を、この際彼は一挙に実行に移そう、と思いたったのである。心の秘密、つまり霧社在住の内地人をみな殺しにする、というその恐るべき計画を、モーナルーダオは先ず最初、自分の息子たちに打ち明けた。長男も次男も父の計画に否応のある筈はなかったが、わけても勇猛な次男のタダオモウナオは積極的で、今すぐにでも事をあげたい姿勢を示した。父親はそれをおさえ、しばらく時期をまつように、そしてそれまでは決して他言しないように、くれぐれもさとした。
高台の桜の葉は落ちつくし、それをとりまく辺りの山々がようやく紅葉し始めた頃であった。
モーナルーダオの耕作小舎には、人知れず数名の男たちが毎日のように集り、なにごとかを謀議しつづけていた。それはモーナルーダオを始め付近に住む蕃人ヒポサツポ、ヒポアリス、タイモポホツクたちの三人で、すべて内地人に対して、深い反逆の心をいだいているか、或いは首きりをしなければ運命を拓くことができない、どんづまりの生活に落ちこんでいるか、その何れかの人間たちであった。