Clásicos japoneses con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.494 caracteres · 26 pantallas
どっちみち、いずれはくずれる膝ですが、しからば御意にしたがいましょう」
顎十郎は、燃え立つような繻珍の大褥の上に大あぐらをかいて、
「どっこいしょ、こんな工合じゃいかがです」
「結構でございますわ。ついでに、どうぞ、脇息へ肘をおもたせくださいまし」
「はは、こんな工合でよろしいか」
「お立派に見えますわ」
「ひやかしちゃいけねえ」
小波は、嬉しそうに手をうって、
「その調子。……今のようなくだけた口調でやっていただきますわ。ちっとも、御遠慮はいりませんから、なんなりとおっしゃっていただきとう存じます」
顎十郎は、へへえ、と、だらしなく笑って、
「あまり調子がいいと、口説くかも知れませんぜ」
小波は、あら、と小さな声で叫ぶと、サッと顔を染めて、
「そこまでは、ちと行きすぎます」
「いやア、いまのは冗談。取消す、取消す」
小波は、それを聞き捨てて、裾さばきも美しく、しとやかに立ちあがると、床ぎわの乱れ籠のそばへ行き、定紋つきの羽織を両袖をさしそえながら持って出て、足袋の爪さきを反らせながらスラスラと顎十郎の後へまわり、
「長雨のあとで、少々、冷えますようですから、お羽織をおかけいたします」