Clásicos japoneses con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.494 caracteres · 26 pantallas
横柄なるお声で、おいおいと、ひと声、ふた声お呼びくだされば、打てば響くというふうに、腰元どもなり、あるいはまた、三太夫とも申すべき奴らがたちどころに立現れまして、いかなる御用命にも即座にお応えするようになっておりますから、なんなりと鷹揚にお申しつけくださいますよう。なおなお、少々心得もございますから、この手紙の余白に、御意のほどをひと筆御染筆、使いの者に御手交くださらば有難く存じます。余は、御拝眉の上、万々申しあげたく、まずは、右のため、云々。というのが手紙のおもむき。差出人は、稲葉能登守のお留守居、溝口雅之進。
「……稲葉能登守といえば、豊後の臼杵で五万二千石。外様大名のうちでもそうとうな大藩だが、この雅之進というやつは、よほど洒落れた男だと思われる。高位の人命にかかわる事態などと言っておきながら、文脈の中に、綽々たる余裕をしめしている。人を馬鹿にしたようなところもある。よほどの大人物か、さもなければ浮世を茶にしたとぼけた人体に相違ない。……脇息もございますから、それに肘などをおつきになって、尊大な御様子でお待ちくだされたく、なんてえのは、いかにも人を喰ったものだ。