Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.494 caracteres · 26 pantallas

Aozora Bunko

あまり樹の数をおかない上方ふうの広い前栽で、石の八ツ橋をかけた大きな泉水がある。

顎十郎は、淡月の光で泉水の上下を眺めていたが、

「手紙には、泉水のへりについて、とあった。橋を渡れとは書いてなかったようだ。するてえと……」

築山のむこうに、鉾杉が四五本ならんでいて、そのむこうに、ぼんやりと灯影が見える。

「うむ、あれだ、あれだ」

と、うなずいて、そちらのほうへのそのそと入りこんで行く。

柴折戸。そのむこうが露地になり、柿葺の茶室が建っている。手紙にある通り、かまわず広間の縁から茶室に入って行くと、なるほど、向床の前に大きな朱色の繻珍の褥がおかれ、脇息に煙草盆。書見台の上には『雨月物語』。乱れ籠には、小間物の入った胴乱から鼻紙にいたるまで、なにからなにまで揃っている。

顎十郎は、横着千万な面がまえで、委細かまわず繻珍の大褥の上へのしあがって、キョロキョロと部屋の中を見まわす。

床柱は白南天、天井が鶉杢目で、隅爐が切ってある。いかにも静寂閑雅なかまえ。こんなふうにしていると、なんだか御大藩の家老にでもなったような鷹揚な気持になる。

なんとなく面白くなって、ニヤニヤしていたが、間もなく手持無沙汰になって、となりの部屋のほうへむかって、