Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.819 caracteres · 26 pantallas

Aozora Bunko

……ねえ、とど助さん、どうしよう、このお客さんは、豊島ガ岡までいらっしゃりたいとおっしゃるんだが……」

とど助は、仏頂面で、

「わしは満腹で気が重い。あんなところまで行ったら、もどりは夜明けになってしまう。商売冥利につきるようだが、きょうはひとつ、お断りすることにしようじゃないか」

「わたしもそのほうが賛成だ。……お客さん、只今、お聞きのようなわけですから、どうか、べつな駕籠へ乗っておくんなさい」

「そう言わないで、行ってください。一両あげますから」

「えッ、豊島ガ岡まで行くと、一両くださるっていうンですか」

「はい、前払いで差しあげます」

「おい、とど助さん、どうしよう」

「そういうことなら、話がちょっと違って来た。一両とは聞きずてならん。ものははずみだ、乗せてつかわッせ」

「じゃ、お客さんまいりましょう」

「たしかに連れて行ってくれますか」

「そんな念を押さないだって、行くといった以上たしかにお供します」

眼のキョロリとした小柄な男は、なにか言い憎そうにもじもじしていたが、やがて思い切ったように、

「お連れくださるというんでしたら、打ちあけたところをお話しますが、……実は、わたしは、狸なんです」