Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas
銀五郎はぎょッとした。蜂須賀家の廻し者ではないかという疑念が、彼に油断のない身構えをさせた。その様子を見ると万吉も前へ出て、
「お隠しなさることはございません、そこにいる多市さんという者とは、確か天王寺の境内で、お目にかかったことのある筈です」
「あア」銀五郎のうしろで、多市が思いだしたようにいった。
「じゃ、あの時、俺の腰帯を取った目明しの? ……」
「そうだ、万吉という手先の者です。また、ここにいるのは、元天満同心の俵一八郎というお方。いきなりこういう物騒な奴が、お前さんたちの隠れ家へ飛びこんで来ちゃ、さだめし、妙に疑うかも知れねえが、決して、蜂須賀家の諜者じゃありません。安心のゆくように、まずこれをそっちへ預けておきやしょう」と万吉は、紺房の十手を引きぬいて、縁側へポンとほうりだした。銀五郎は、それと唐突な客の顔とを見くらべていたが、度胸をすえたものであろう。心の落ちつきをとり戻して、
「どういう御用か存じませんが、とにかく、こちらへお上がりなすって下さいまし」
蚊帳の吊手を二所ばかりはずして、脇差の側へピッタリ坐った。
「これは巧く話し合えそうだ」