Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas
「フーム、で姉さんは何しているな?」
「小ッちゃいほうの姉ちゃんはね、吉原の花魁に売られてしまったの」
「だ、誰によ?」
「ちゃんに――」と弟のほうがいって、ポロポロと涙をこぼした。
こぼれた涙が火鉢に落ちて、ジューッと、炭火の中で泣き消える。
「可哀そうに……」と万吉、思いだしたように皿に残っていた里芋を箸に刺して、
「サ、食べな」
と、一本ずつ持たせてやる。お獅子の子は、それを貰って、すぐムシャムシャと食べ始めた。
この優しい小父さんが、ふところに十手を呑んでいる怖い目明しだとは、その子も思わなければ、万吉もまた、おのれが、悪党にも恐れられる目明しだということを忘れている。
そこへ、亭主が、お焦げの御飯を塩にぎりにして、一杯ずつの味噌汁をつけ、奥から持ってきて飯台にのせると、角兵衛獅子のお三輪乙吉、いつもだけの小銭を出して、すぐ、ムシャとふるいつく。
何もかも忘れて、真から、おいしそうに食べていた。
「おやじさん、俺にも、飯をくれないか」
万吉も茶漬を貰って、熱い飯に番茶をぶッかけ、新菜の漬けもので、ザブザブとかッこみ始めた。
そこでまた、箸休めに、
「――で、何かい?」