Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas
「ここだ! 火はッ」
猛然と身を起こした万吉。
左の肱をまげて口をふせぎ、何のためらいもなくダッ――と奥まで駈けこんで行った。
すると!
その突き当りとおぼしき闇に、いきなり、何者だろう? かれの目をさえぎって、ギラリと躍った人影がある。
血相をかえた男の相貌。
「あっ畜生!」
不意だったので万吉も夢中である。
右手につかんでいた唐金の水盤、その男の影を狙って、力の限り投げつけた。
うまく当った! ――と思うと、こはそも何?
グワラグワラッ! と、ものすさまじい響きがして、燦然と八方へ飛んだのは、まっ白なギヤマンの破片! あの大鏡がみじんになって砕け、その口からは、赤い火の粉がチラチラと噴き出した。
モクッ――と一つ、違った煙の渦が、鏡の裏の地底から、かれの顔へ吹きつけてきた。
「ア! アッ!」
と万吉。
思わず後ろへ飛びのくと――、煙に声がまじってきた、かすかに叫ぶ地底の声! オオ、女の悲鳴――まぎれもなく耳に入った。
「やっ、お綱じゃねえか! あの声は」
ザクザクとギヤマンの破片を踏んで、框だけになった鏡の口へ寄ってゆくと、いよいよ濃い煙が巻き揚ってくる。