Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas

Aozora Bunko

「ええ、やぶれかぶれだッ」と、万吉が踏み止まって、怖ろしい眼を対手に射つけた。ピタと孫兵衛の切ッ尖も止まる……。

その時、風ではない――椎の若葉にバタバタという大きな羽ばたき。一羽の鳩だ。

「あっ、俺を探しにきた!」

と万吉の眼が上へそれるや否、孫兵衛の刃がさっと斜めに走った。切ッ尖に胸を掠られて、万吉はどンと仰向けになったが、はね返って栗鼠のように木の幹を楯にとった。

「野郎!」お十夜の跳びかかったのも真に迅い。白刃と人、渦になってグルグル木の幹を巡り廻った。と、屋根から斜めに落ちてきた今の小鳩、何かに狂いだしたように、そぼろ助広の切っ尖に飛びまとって離れない――。

「万吉、しっかりいたせ!」

塀の上に、突然な声があった。

「あっ、旦那」

「一八郎が参ったぞッ、もう大丈夫」

ポンと飛び降りてきた俵同心、力をあわせてお十夜の側面へかかる。わっと、総立ちになったのは甲比丹の三次をはじめ荷抜屋の誰彼、脇差を閃かす者、戸惑う者、かけこんで錆鎗を押っ取る者。据物斬りの見物が、意外な血をみずから見ることになりだした。

するとまた、木戸を蹴破ってきた一人の助太刀、常木鴻山である。