Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas
「ご苦労ながら」
「いえ、どう致しまして……」と番僧は木履を鳴らして本院の方へ戻って行く。――その後で、弦之丞二、三服の煙草をくゆらしてから、ゆったりと立ち上がった。
「万吉、拙者はちょっと行ってみるから、先に寝んでいてくれい」
「えっ、これからお出かけなさいますッて?」
「ウム、その手紙を見るがいい……。少し腑に落ちぬことではあるが、何ぞの手がかりがあるかもしれぬ」
「へえ……」と万吉、あわてて炉べりにおいてある今の手紙を開いてみると何ぞ計らん、差出人は旅川周馬――、お千絵殿の所在が知れたから、至急、鶯谷の古梅庵という料亭までご足労を願いたい――という文意。
先日、路傍でお目にかかった節は、連れがいたし雑沓の中で失礼いたしたが、今夜はゆるりと旧交を温めたく思う、そして、自分がつきとめたお千絵殿の所在をお告げする。それを以て、自分の誠意を認めてほしい。などという美言が巧妙につらねてある。
「貉め!」
万吉は、おッぽりだすように読み捨てて、
「こいつアいけねえや! もし弦之丞様、こんな物騒なものに誘われて、うっかりお出かけなさいますと、どこにどんな死神が待ち伏せしているかも知れませんぜ。