Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 262.100 caracteres · 523 pantallas
ながら、胸を抱いて籬の裾へしゃがんでしまった。
ひそかではあるが力をこめて、銀五郎の声がすぐつづく――。
「どじをふんだ旅の空で、あなた様にお目にかかったのは、まったく甲賀世阿弥様のおひき合せ――こう銀五郎は信じております。自体こんどの阿波入りも、わっし風情には荷の過ぎた大役です。どうぞあなたのお力をお貸しなすッて下さいまし」
「わしに力を貸せいというか」
「へい、倒れかかっている駿河台の喬木、甲賀のお家を支える力は、あなたのほかにはございません。とりわけお気の毒なのは、この世に頼る人というものをお持ちなさらぬお千絵様……。もし弦之丞様、あのお方を、あなたは不愍とは思いませぬか」
「…………」白衣の人は無言である。
見るとその眼は閉じられてあった。何か心に痛みをおぼえるのか、かすかに唇がふるえている。
「もし弦之丞様、あのお方をよもお忘れではございますまい。わ……わっしですら、お千絵様のお身の上を考えると、野郎のくせに、つい、なみだが出てしようがねえんです……」太い腕ぶしをグイと折って、泪の両眼を隠したまま唐草銀五郎、しばらく顔をそむけていた。
「――だが、御不運なお千絵様にも、たッた一人あなた様という強い力がありました。