Clásicos japoneses con furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lee 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) de 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 127.675 caracteres · 254 pantallas
独逸にてかようなのを Mondsucht と称しますが、敢て精神病には数えませぬ。月に魅せられて、ついうかうかとさまよい出て、市中または林間田野を歩き廻り、覚えず溝川に落ち入り、折々は死ぬるものもあるとか聞きました。緒方が月の夜に見えぬと、「またモントズクトか」といったことがありました。緒方のいうには、「月夜に散歩していると、何となくよい気持になり、つい夢心持になって歩き廻るのさ。事は違うが、チャンの阿片に酔うた心持もこんなものかしら。」(月狂生)
その前に添えてある与謝野晶子氏の文に、「私が前号のこの欄に月見の事を書きましたら、賀古鶴所先生から早速興味あるお手紙を頂きました。私信ですけれども差支がないと思いますから次に載せます。文中の緒方氏は森鴎外先生の「雁」という小説の中に「岡田」という姓で書かれている医学生です。独逸の留学から帰って早く歿せられましたが、明治医界の先輩で、今の大阪の緒方医学博士の御一族です」としてあります。
右の賀古氏の手紙は、私にも興味が深いのですが、その中には不審の点もありますので、春にでもなったらお目にかかって、伺って見たいと思っています内に、翌六年の元日の午後、賀古氏は急逝せられて、そのことも出来なくなりました。