Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あめんちあ

あめんちあ

富ノ沢 麟太郎

Lisez あめんちあ de 富ノ沢 麟太郎 (とみのさわりんたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 594 caractères · 83 écrans

Aozora Bunko

彼の熱情は、一瞬の閃きすら耀かさずに消えようとしていた。

彼は神のような心を抱きながら、或機会をとり逃がそうとしていた。

しかし彼は自分の内心を疑えなかった。

そうして彼は何らの懸念も危険もなくなるに違いないと知った。

彼は宗教を知らない、思想を知らない、これらの相手になれる彼自身ではない――

「おれが相手として望む者はおれ自身に外ならないではないか!」

彼は血の滲み出るように叫んだ。

この時、彼自身の内心は決定した。

彼は自分の胸を平手打ちして悦んだ。

しかしこの悦びとても、瞬間にしてその小波を曳き去ってしまった。

同時に彼は自分で自分を揶揄しているのではないかと疑った。

そうして彼には自分の考えと感情とが、毒悪と憎怨とに制限されているのではないかと、呪わしく思われないこともなかった。

そうして彼は虚無的な憤恨を抱いているかたわら不正型な意志を持っていることを知った。

「とうとう遂行した?」

彼は他人の言動のことのように自分自身を振り返ってみた。

そうして彼は徐ろに巻煙草へ火をつけて喫みはじめた。

彼の考えは吐き出される煙草の烟のように渦巻いた――彼は刑事に尾行されている――彼は郵便局の現金を盗み出したのであろうか。