Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるかいそうから

ある回想から

宮本 百合子

Lisez ある回想から (あるかいそうから) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 899 caractères · 14 écrans

Aozora Bunko

日本には、治安維持法という題の小説があってよい。そう思われるくらい、日本の精神はこの人間らしくない法律のために惨苦にさらされた。

先日、偶然のことから古い新聞の綴こみを見ていた。そしたら、一枚の自分の写真が目についた。髪をひきつめにして、絣の着物をきて、長火鉢のわきにすわっている。そして、むかいあいの対手に、熱心に話している。その顔が、横から夜間のフラッシュで撮されているのであった。興奮して、口を尖らかすようにしているその女の顔は、美しくない。せっぱつまって、力いっぱいという表情がある。年をへだて、事情の変ったいま眺めなおしたとき、その写真は私の心に憐憫を催おさせるのであった。

一九三八年(昭和十三年)一月から、翌年のなかばごろまで、日本では数人の作家・評論家たちが、内務省の秘密な指図で、作品発表の機会を奪われた。そのころ内務省の中で、ジャーナリストたちを集めて、役所の注文をなす会合がもたれていた。そこで、何人かの文筆家が名ざされて、雑誌その他に執筆させないようにといわれたのであった。

三七年の十二月三十一日の午後、私は、重い風呂敷包みを右手にかかえて、尾張町の角から有楽町の駅へむかって歩いていた。