Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いのちのしょや

いのちの初夜

北条 民雄

Lisez いのちの初夜 (いのちのしょや) de 北条 民雄 (ほうじょうたみお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 366 caractères · 63 écrans

Aozora Bunko

樹から見下している。癩病が治ってばかに美しい貌なのだ。二本の眉毛も逞しく濃い。尾田は思わず自分の眉毛に触ってはっとする。残っているはずの片方も今は無いのだ。驚いて幾度も撫でてみるがやっぱり無い。つるつるになっているのだ。どっと悲しみが突き出て来てぼろぼろと涙が出る。佐柄木はにたりにたりと笑っている。

「お前はまだ癩病だな」

樹上から彼は言うのだ。

「佐柄木さんは、もう癩病がお癒りになられたのですか」

恐る怖る聴いてみる。

「癒ったさ、癩病なんかいつでも癒るね」

「それでは私も癒りましょうか」

「癒らんね。君は。癒らんね。お気の毒じゃよ」

「どうしたら癒るのでしょうか。佐柄木さん。お願いですから、どうか教えてください」

太い眉毛をくねくねと歪めて佐柄木は笑う。

「ね、お願いです。どうか、教えてください。ほんとうにこのとおりです」

両掌を合わせ、腰を折り、お祈りのような文句を口の中で呟く。

「ふん、教えるもんか、教えるもんか。貴様はもう死んでしまったんだからな。死んでしまったんだからな」

そして佐柄木はにたりと笑い、突如、耳の裂けるような声で大喝した。

「まだ生きてやがるな、まだ、貴、貴様は生きてやがるな」