Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
Lisez うすゆき抄 (うすゆきしょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 454 caractères · 59 écrans
で、生毛もとれぬ稚顔の頬に煙草の煙をまつわらせながら、
「いまのお話ですが、長者の心、下司知らずとは、なるほどよく言ったもの。妹のやつの気位の高いのには、この日頃、私も閉口しているのですが、じつは一と月ほど前、こんなことがあったのです」
と脂っこい口調で語りだした。
道長という小伜の向う見ずと智慧の足らなさ加減には、これまでにもたびたび手を焼いている。こんどはどんな風癲をやらかしたかとおどろき、
「や、また、なにをやった」
とたずねると、道長はこんな話をした。一と月ほど前、妹が沈んだ顔で、この頃嫌な夢ばかり見るので、日暮れになるのが恐ろしい。夢というのはこんな夢である。菊燈台に南蛮蝋燭を立てならべ、灯の下で本を読んでいると、邸裏の木の間から、鈍色の小狩衣に、悪魔の面を鋳出した南蛮頬をつけた男が忍びだしてきて、夜霧のようにぼーっと池の汀に立つ。すると、このわたしが三階から走りだし、ひかれるようにそのそばへ寄って行く。なにか儚く、もの悲しく、そのまま陰府へでもひきこまれるような気持がする。どういうわけで、こんな夢を見るようになったのかと考えてみると、これは原因がある。