Classiques japonais avec furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lisez おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 074 caractères · 148 écrans
おせんの返事はどうだったんだ。直ぐに来るとか、来ないとか」
「めえりやすとも。もうおッつけ、そこいらで声が聞えますぜ」
八五郎は得意そうに小首をかしげて、枝折戸の方を指さした。
五
枝折戸の外に、外道の面のような顔をして、ずんぐり立って待っていた藤吉は、駕籠の中からこぼれ出たおせんの裾の乱れに、今しもきょろりと、団栗まなこを見張ったところだった。
「やッ、おせんちゃん。師匠がさっきから、首を長くしてお待ちかねだぜ」
朱とお納戸の、二こくの鼻緒の草履を、後の仙蔵にそろえさせて、扇で朝日を避けながら、静かに駕籠を立ち出たおせんは、どこぞ大店の一人娘でもあるかのように、如何にも品よく落着いていた。
「藤吉さん。ここであたしを、待ってでござんすかえ」
「そうともさ、肝腎の万年青の掃除を半端でやめて、半時も前から、お前さんの来るのを待ってたんだ。――だがおせんちゃん。お前は相変らず、師匠の絵のように綺麗だのう」
「おや、朝ッからおなぶりかえ」
「なぶるどころか。おいらァ惚れ惚れ見とれてるんだ。顔といい、姿といい、お前ほどの佳い女は江戸中探してもなかろうッて、師匠はいつも口癖のようにいってなさるぜ。