Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おみな
おみな
Lisez おみな de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 437 caractères · 11 écrans
友達は顔色を変えて驚いた。
「母は」と彼は吐きだす如く強く言った。
「父の生きてる間というもの、父と結婚したことを後悔しつづけていたよ。父の死後は、ひとすじに憎みつづけているばかりだよ」
私の頭がのどかに廻転を失っている。私は彼の父親の在世の頃を思いだす。玄関に立つと、家内の気配が荒廃し恰も寒風吹きみちた廃屋に立つようであった。その気配をいやがり訪れることを躊躇した人々の顔も浮んできた。
「だからさ」私はなんのきっかけもなくふと言いだして、何も知らない友達に、食ってかかる激しさで喋っている。
「だからさ、モナリザの眼、聖母の乳房を畏れるうちは、行路の代りには喜びが、悲しみの代りには自殺が、あるにすぎないと言うのだ。それらは退屈で罪悪だ! モナリザに、聖母に鞭をふりあげろ。そこから悲しみの門がひらかれ、一切の行路がはじまる。真実や美しいものは誰にも好かれる。誰しも好きに決っているさ。然しそれは、喜びか自殺の代償でしかないじゃないか! 友よ、笑い給うな! 俺を生かしてくれるものは、嘘と汚辱の中にだけ養われているものなんだぜ」
私は言いながら泣きだしそうになっている、或いは今にも怒りだして喚きそうになっている。