Classiques japonais avec furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lisez ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 164 113 caractères · 332 écrans
そうしてその間に年来の信仰問題が頭の中で最早美事解決出来ていたというから面白いのさ」
「帽子と宗教と関係があるのかね?」
「大いにあったのさ。宗教も要するに大同小異――唐物屋は軒並にあっても問屋は共通だと先ず大悟徹底したんだね。して見れば初めから多少聞き覚えのある基督教が一番手っ取り早いという次第で洗礼を志願したのさ」
「ふうむ、洒脱な親父だね。すると榊原君がアメリカまで神学専攻に出掛けたのもその夏帽子の影響だね」
「それだから大いに関係があると言うのさ。現にあの男が伝道をやっているのもその麦藁帽子のお蔭だよ」
「若し割引の店でもあったら親父めそこで買ってしまって、矢っ張り日本人は仏教の方が好いなんて言い出したかも知れない。危いところだ」
「そこさ。榊原君は心斎橋の唐物屋が一軒として割引もせず懸値も言わなかったのを今もって感謝しているだろうよ」
「宗教も商取引も大同小異だね。妙なことが縁になるもんだ」
と二人は何時までも他愛もないことを論じている。尚お話によるとこの親父さんというのは現に堺市指折りの成功者だそうだ。そうして、或日息子の一人が木から落ちて腕を挫いた時、それをこの子には手の仕事よりも頭の仕事をさせろという神さまの思召と解し、本人を諭して今日ある通り伝道師になる決心をさせたとある。