Classiques japonais avec furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lisez ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 164 113 caractères · 332 écrans
これを参考の為めに是非持って帰ります」
「あなたのは男よ」
「あなたのは女? 女でも矢っ張り怖い顔をしているんですね」
「顔じゃないわ。甲羅だわ」
境内には壇浦に沈んだ平家一門の墓があった。大木の下に小さな自然石の立ち並んだ様は如何にも没落した人達の奥津城らしく、何とはなしに哀れを誘う。
「錨を背負って飛び込んだ知盛までいるね。死体捜索の結果不思議にも大将株の丈けが揚ったと見える」
とお父さんは立札を仰ぎながら言った。
「雑兵は皆海の底に居残って蟹になってしまったのさ。負け戦さには実際雑兵で出るもんじゃないね」
と団さんは平家蟹に同情した。
「墓ないものは、雑兵の身かね。田鶴子さん、その蟹をもう一遍見せて御覧なさい」
と三輪さんが言った。
「此処のお祭典は何時だったかね? 大変賑かだったが、この頃でも盛んだろうね?」
と団さんは名誉恢復を心掛けて安全な質問をした。神社には必ずお祭典がある。そうしてお祭典は大抵賑かなものに定っている。
「四月の二十三日でございます。女郎の参拝というのがありまして、これは福岡辺からは素より京阪から見物に参ります」
と車屋が答えた。団さんの車屋が一番弁者で、他の連中は脚が本業だと言わないばかりの顔をしている。