Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こころ

こころ

夏目 漱石

Lisez こころ de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 160 915 caractères · 322 écrans

Aozora Bunko

すると父がまた卒倒した。医者は絶対に安臥を命じた。

「どうしたものだろうね」と母が父に聞こえないような小さな声で私にいった。母の顔はいかにも心細そうであった。私は兄と妹に電報を打つ用意をした。けれども寝ている父にはほとんど何の苦悶もなかった。話をするところなどを見ると、風邪でも引いた時と全く同じ事であった。その上食欲は不断よりも進んだ。傍のものが、注意しても容易にいう事を聞かなかった。

「どうせ死ぬんだから、旨いものでも食って死ななくっちゃ」

私には旨いものという父の言葉が滑稽にも悲酸にも聞こえた。父は旨いものを口に入れられる都には住んでいなかったのである。夜に入ってかき餅などを焼いてもらってぼりぼり噛んだ。

「どうしてこう渇くのかね。やっぱり心に丈夫の所があるのかも知れないよ」

母は失望していいところにかえって頼みを置いた。そのくせ病気の時にしか使わない渇くという昔風の言葉を、何でも食べたがる意味に用いていた。

伯父が見舞に来たとき、父はいつまでも引き留めて帰さなかった。淋しいからもっといてくれというのが重な理由であったが、母や私が、食べたいだけ物を食べさせないという不平を訴えるのも、その目的の一つであったらしい。