Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lisez 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 118 470 caractères · 244 écrans
「少しですみませんが、これ取って置いてください」
「これじゃ、お剰銭がねえがの。いまちょうと細けえのがねえんで――」
「お剰銭なんぞ、いいんですよ」
「それじゃ済まねえの」
このときはじめて、農家の親爺さんの頬と小鼻の脇に、笑いの表情が動いたのである。「それじゃ、お剰銭がねえがの」という手に対しては、都会のおかみさんは馴れたものである。万事、心得たものだ。
「おじさん、またきますから、こん度おじゃがなんか、売って頂戴ね」
「あいよ。この相場なら何でもやるよ。おれのうちになければ、近所から都合してきてもやるべえよ」
野菜買いだし問答は、こんな調子のものであろう。
先日、私はこの夏食べねばならぬ時無し大根の種を蒔き終わり、縁に腰かけて煙管で一服やっていると、三十歳前後の見知らぬ男が庭先づたいにやってきた。そしてだしぬけに、しかも、なにか憚るように、
「おじさん、なにかありませんか」
と、いうのである。私は、この青年見当違いをしてやってきたなと思った。
「なにかありませんかって、どんなもの」
「米でも、じゃがいもでも結構なんですがねえ、少し――」
「なんだ君は買いだしか――だが僕のところには生憎なにもないんだよ」