Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

Lisez 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 118 470 caractères · 244 écrans

Aozora Bunko

その年の秋、ちょうど二、三年前、裕八郎が四万温泉へ旅立った日がきたと思うころ、彼はある夕の灯ともしの時刻にふらりと行衛不明となってしまった。母にも妻にも、一言もいい遺さない。遺書もない。

裕八郎は、四万温泉から帰ってきてからというもの、いつも秋がくると三角州の果てに続く利根の河原に出て北の方を望み、榛名山と小野子山との峡に、遙かに綿々として聳える上越国境の国越えの三国連山の初雪に手を翳し、なにか口に低く唱えている姿を、幾人も村人が見て知っていた。

たみ女も、ふゆ女も愕然としたけれど、裕八郎の行衛には、まったく手がかりがなかったのである。

三

石坂家の家族は、また僅かに三人で大きな邸に住まわねばならぬようになった。孫の雅衛は成長して十八歳になった冬である。明治三十一年である。

ある日、石坂儀右衛門遺族殿という手紙が石坂家へ配達された。差出し人は、茨城県鹿島郡麻生町の一青年某というのである。私が数日前、霞ヶ浦の枯蘆のなかを散歩していると、小径から四、五歩離れたところに、小さな一つの石碑を発見した。碑面に、水戸浪士石坂儀右衛門之墓とあり、裏に儀右衛門は上野国佐波郡芝根村沼之上の産、文政十二年出生、文久三年玉造町の役にて斬死し屍を茲に運び来って葬る。