Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lisez つゆのあとさき de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 725 caractères · 148 écrans

Aozora Bunko

君江はおばさんに呼ばれて下へ行き夕飯をすますと、洗髪のまま薄化粧もそこそこに路地を出た。家にいると毎晩のようにおばさんに話し込まれるのがうるさいのみならず、俄に真夏らしくなったあたりの様子に、唯何ともつかず散歩したくなったからである。出しなに鏡台の曳出しから蟇口を取出す時、村岡の手紙が目に触れたまま一緒に帯の間に挿込んだ。半分から先は夕飯に呼ばれたのと夜になりかけた窓の薄暗さに拾い読みをしたばかりなので、君江はぶらぶら堀端を歩みながら、どこか静な土手際で電燈の光の明い処でもあったらもう一度読み直そうという気もしたのである。しかし電車と自動車の往復する堀端は、新見附の土手へ来るまでは手紙を読返す事のできるような処もなかった。行手に牛込見附の貸ボートの灯が見え、二、三人女学生風の女が見附の柵に腰をかけて涼んでいたので、君江は蔦の葉つなぎの浴衣のさして目にたたぬを好い事に、少し離れた処に佇立んで、束ねた洗髪を風に吹かせながら、街燈の光に手紙を開いて見た。君江には手紙の文体が学生の艶書と同じように気障にも思われるし、また翻訳小説でも読むようにまわりくどくて、どうやら気味のわるい気はしながらも、事実と文飾との境がはっきりしないのである。