Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lisez つゆのあとさき de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 725 caractères · 148 écrans

Aozora Bunko

それらの事を憶い返して、君江はおぼえず口の端に微笑を浮べたのを、矢田は何事も知らないので、笑顔を見ると共に唯嬉しさのあまり、力一ぱい抱きしめて、

「君さん、よく承知してくれたねえ。僕は到底駄目だろうと思って絶望していたんだよ。」

「そんな事ないわ。わたしだって女ですもの。だけれど男の人はすぐ外の人に話をするから、それでわたし逃げていたのよ。」と君江は男の胸の上に抱かれたまま、羽織の下に片手を廻し、帯の掛けを抜いて引き出したので、薄い金紗の袷は捻れながら肩先から滑り落ちて、だんだら染の長襦袢の胸もはだけた艶しさ。男はますます激した調子になり、

「こう見えたって、僕も信用が大事さ。誰にもしゃべるもんかね。」

「カッフェーは実に口がうるさいわねえ。人が何をしたって余計なお世話じゃないの。」と言いながら、端折りのしごきを解き棄て、膝の上に抱かれたまま身をそらすようにして仰向きに打倒れて、「みんな取って頂戴、足袋もよ。」

君江はこういう場合、初めて逢った男に対しては、度々馴染を重ねた男に対する時よりもかえって一倍の興味を覚え、思うさま男を悩殺して見なければ、気がすまなくなる。