Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どこかにいきながら

どこかに生きながら

小川 未明

Lisez どこかに生きながら (どこかにいきながら) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.

N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 4 469 caractères · 9 écrans

Aozora Bunko

その苦労は、けっして、すこしのことでなかった。いかに気が急いても、なにか見つからなければ、空しくは、帰れなかったのでした。

そのうち、塀をかき上る、するどいつめ音がすると、子ねこは、母ねこが帰ったのを知り、つづけさまにないて、ひさしの下から顔を出すのでした。

そのとき、母親のやせた姿が、西日を受けて、屋根へ灰色の長い影をひきました。毛のつやもなく、脾腹のあたりは骨立っていました。彼女は、子供の無事だったのを喜び、持ってきた餌を与えました。そして、みずからの空腹を忘れたほど目を細くして、子供の食べるのを見て満足したのでした。

冬の晩には、寒い、身を刺すような北風が、用捨なく、屋根の上を吹きまくりました。母ねこは、子供を壁のすみへ押しやるようにして、自分のからだで、風をさえぎるだけでなく、ぬくみであたためてやったのでした。そのため、子ねこは、安らかに眠ることができました。それは、子ねこの生涯にとっても、またどんなに感銘の深いことだったかしれません。

朝、太陽が上ると、母ねこは、また出かけました。霜が真っ白に、雪のごとく、屋根へ降りていました。その結晶が、ちかちかと、目をさしたのです。