Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ねずみとバケツのはなし

ねずみとバケツの話

小川 未明

Lisez ねずみとバケツの話 (ねずみとバケツのはなし) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 785 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

それは、ほんのわずかばかりの距離ではありましたけれど、この小さな動物にとっては、容易のことではなかったのです。

彼は、できるだけ下へくびを伸ばしました。まさしく、それは冒険でありました。しかしいくら、しっかりとつかまっていても、バケツの縁は円く、それに金属でつめの立ちようがなかったから、ねずみは、足をすべらすと同時に前のめりになって、水の中へ落ちてしまいました。ねずみは、水の中でもがきました。しかし、バケツの縁には、どんなことをしても、手足がとどきませんでした。

このとき、バケツはあざ笑ったのであります。

「おまえは、だれの許しを得て水を飲もうとしたのだ。小さなくせに、生意気な。俺の頭の上へ乗ったりして、みんな罰があたったのだ。こうなっては、逃げようと思っても逃げられるものでない。」と、バケツはいいました。

ねずみは苦しんでいました。そして、水をはね返しながら、

「私が悪かったのです。どうか助けてください。こんどからは、けっして、あなたの中にはいっている水を飲もうとはいたしませんから……。」と、バケツに向かって頼みました。

けれど、バケツは、冷淡に、からからと笑ってとりあいませんでした。