Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はたしじょう

はたし状

山本 周五郎

Lisez はたし状 (はたしじょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 525 caractères · 39 écrans

Aozora Bunko

その夜はいつまでも眠れなかった。怒りや憎悪が胸を噛み破るようであった。毒々しい空想ばかりが渦を巻き、絶望して呻いた。

「――だめだ……」

法広寺の鐘が午前二時を打つと、第二は起きて、刀を持って、音をさせないようにはだしで庭へ下りた。それから刀を抜いて、冷たい土を踏みながら、力いっぱい刀を振った。……声はあげずに、上段から打ちおろし、また打ちおろした。寝衣が汗になり、刀が上らなくなるまで続けたが、縁側から母がそっと見ていたことには、彼は気がつかなかった。

三日ほど過ぎた或る日の午後、御文庫の外へ藤島が来て第二を呼びだした。

「御用ちゅうだが、ひと言だけ云いに来た」

英之助の顔は歪んで痙攣しているようにみえた。

「蔭で人を誹謗するのはみぐるしい、文句があったらじかに云うべきだ、断わっておくが、おれは決闘を申し込まれて逃げるほど腰抜けではない、これだけははっきり断わっておく」

「待て藤島」第二はかっとなった、「――人を誹謗するとは誰のことだ」

「裏切り者という言葉は最上の侮辱だぞ」

「その覚えはある筈だ」第二は叩きつけるように叫んだ、「誹謗とは無いことを曲げて謗るのをいう、その事実が有ったとすれば誹謗ではない、決して誹謗ではないんだ」