Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やぶからし

やぶからし

山本 周五郎

Lisez やぶからし de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 476 caractères · 44 écrans

Aozora Bunko

と思いつめていたことだけである。

――死んでしまおう、そのほかにどうしようもない。

殆んど世間を知らず、十六といってもおくてのわたくしには、ただもうあの方が怖ろしく、あの方かられるためには、死ぬよりほかにみちはない、としか考えられなかったのだと思う。

裏のどこかで、車井戸の音が聞えた。わたくしはそっと立ちあがり、次の間へいって、斎藤夫人の揃えておいてくれた着物に着替えた。海へゆこうか、それとも山にしようか。そんなことをひとごとのように思いながら、静かに廊下へぬけだした。

そのまま忍び出るつもりだったが、薙町の家とは違って構えも大きく、わたくしは来たばかりで、どこから出たらいいのか見当もつかなかった。およその勘だけで廊下を曲ってゆくと、若い女中が雨戸をあけてい、姑のさち女が庭を眺めていた。雪景色を見ていたらしいが、わたくしが気づくと同時に、ふっと振向いてわたくしを認め、びっくりしたようなお顔で、いそぎ足にこちらへ寄って来られた。

「まあ早いこと」とおかあさまが仰しゃった、「もうお起きなすったんですか」

細いきれいなお声と、劬りのこもったまなざしを見たとき、わたくしは夢中でおかあさまの胸にすがりつき、すがりついた手に力をいれて泣きだした。