Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やぶからし

やぶからし

山本 周五郎

Lisez やぶからし de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 476 caractères · 44 écrans

Aozora Bunko

――これが本当のおとうさまとおかあさまだ。

祝言の席にいるあいだも、それから仲人夫妻に導かれて寝所へはいってからも、その感動の与えてくれるあたたかさと、やすらかにおちついた気分とで、わたくしはうっとりしていたように思う。寝所でもういちど盃ごとがあり、そのとき綿帽子をとって、初めてあの方と向き合ったが、これが良人になる人だと認めたほかは、なんの感情もおこらなかった。たしかだろうか、不安とか、恥ずかしさとか、おそれなどという、心の動揺はなかったろうか。わたくしはなかったとおぼえている。記憶のどこかに残っているのは、新しい兄、という漠然とした感じをもったことだけであった。

次の間へ立って、仲人の斎藤夫人に着替えを手伝ってもらい、白の寝衣に鴇色のしごきをしめ、それから髪を解いた。

「朝のお召物はここに置きます」と斎藤夫人は溜塗のみだれ籠を示した、「お呼びになれば小間使がまいるでしょうけれど、お着替えは自分でなさるほうがいいでしょう」

「はい」とわたくしは答えた。

斎藤夫人はわたくしの寝衣の衿をかいつくろいながら、なにげない口ぶりで、からだを固くしないように、くつろいだ気持になるがよい、というようなことを囁いた。