Classiques japonais avec furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lisez わが町 (わがまち) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 93 840 caractères · 186 écrans
風呂屋へ行きよるくらい子供が好きやし、まえまえから、養子を貰う肚をきめてたんや。ほかにも心当りないわけやないけど、それよりもやな、気心のよう判ったおまはんの孫を貰たらと、こない思てな。それになんや、その子は両親(ふたおや)ともないさかい、かえって貰ても罪が無うて良えしな」
「……………」
背負った孫可愛さの重みに他吉は首を垂れて、慌しく心の底を覗いていた。
祖父ひとり孫ひとりのわびしい路地裏住いよりも、こんな大家にひきとられて、乳母傘で暮せば、なんぼこの子の倖せかと、願うてもない孫の倖せを想わぬこともなかったが、しかし、この子の中には新太郎と初枝の生命がはいっていると想えば、到底手離す気にはなれず、おろおろ迷っていると、
「言うちゃなんやけど、礼はぎょうさんさして貰うぜ。おまはんの好きな酒も飲み次第や」
と、笹原が言った。途端に他吉の肚はきまった。
「旦さん、えらい変骨言うようでっけど、わたいは孫を酒にかえる気イはおまへん。眼に入れても痛いことのない孫でっけど、酒に代えて口の中へ入れたら舌が火傷してしまいま」
「そない言うてしもたら、話でけへんがな。――そらまあ、おまはんが私は要らん言うのやったらそいでええとせえ。