Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
アンゴウ
アンゴウ
Lisez アンゴウ de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 249 caractères · 23 écrans
生活にこまる筈はない。彼には親ゆずりの資産があったから、封鎖の今とちがって、生活に困ることは有り得なかった。
矢島は東京へ戻ると、タカ子にたずねた。
「僕の蔵書の一冊が古本屋にあったよ」
「そう。珍しいわね。みんな焼けなかったら、よかったのにねえ。買ってきたのでしょう。どれ、みせて」
タカ子はその本を膝にのせて、なつかしそうに、なでていた。
「なんて本?」
「長たらしい名前の本だよ。日本上代に於ける社会組織の研究というのだ」
本の名を言う矢島は顔をこわばらせてしまったが、タカ子は静かに本をなでさすっているばかりである。
「僕の本はみんな焼けた筈なんだが、どうして一冊店頭にでていたのだか不思議だね。売ったことはなかったろうね」
「売る筈ないわ」
「僕の留守に人に貸しはしなかった?」
「そうねえ、雑誌や小説だったら御近所へかしてあげたかも知れないけど、こんな大きな堅い本、貸す筈ないわね」
「盗まれたことは?」
「それも、ないわ」
すべて灰となった筈の本が一冊残って売られている。その不思議さを、タカ子はさのみ不思議とうけとらぬ様子で、たゞ妙になつかしがっているだけであった。