Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
オランウータン
オランウータン
豊島 与志雄
Lisez オランウータン de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 947 caractères · 14 écrans
すっかり酔った。
再会を約して小野を自動車に送りこんだ後、私は一人で暫く歩いた。何かしら胸の中に一杯鬱積したものがあった。だがそれを吐き出すべき言葉が見つからなかった。見つからないのは持ち合せがないからだ。稲荷様の前に蹲っても、私は九字の秘言きり、云うべき言葉も、祈るべき言葉も、呪うべき言葉さえも持たなかった。鉄格子につかまってそれを徒らに揺ぶるだけで、何になろう。私の前には、濁り淀んだ掘割りの水が、街路の灯を点々と映していた。それを眺めながら、私の頭には或る映像が蘇っていた。子供の頃、河童の見世物を見たことがあった。赤い毛をしょんぼり生やした頭が、大きな樽の水中に、ぽっかりと浮いてはまた沈んでいた。それは瓢箪に毛をうえ目鼻をつけたもので、水中から糸で引張っているのだと、後で知ったけれど、そう分ってみれば更に嫌だった。瓢箪ならば水に浮きたいだろう。それを、浮いたかと思うと糸で水底から引張りこむのだ。水に溺れる者の頭を、浮ぶひょうしに水中に突っ込むのと同じだ。その映像が、私自身に戻ってくる。
言葉を持つことだ。オランウータン、自分自身の言葉を持つことだ、そう私は繰返したのである。