Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
オリンポスのかじつ
オリンポスの果実
田中 英光
Lisez オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) de 田中 英光 (たなかひでみつ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 75 277 caractères · 147 écrans
その淋しい気持は出帆してからも続きました。見送りの人達の影も波止場も霞み、港も燈台も隔たって、歓送船も帰ったあと、花束や、テエプの散らかった甲板にひとり、島と、鴎と、波のうねりを、見詰めていると、もはや旅愁といった感じがこみあげて来るのでした。
出発時の華やかな空気はそのまま、船を包んで――ぼく達のクルウにも残っていました。朝のデンマアク体操も、B甲板を廻るモオニング・ランも、午前と午後のバック台も棒引も、隅田川にいるときとは比べものにならないほど楽だったし、皆も、向うに着くまではという気が、いくらかはあったのでしょう。東海さんや、補欠の有沢さんを中心とする惚け話や、森さんや松山さんを囲んでの色話も、盛んなものでした。
合宿の頃から、ずうッと一人ぼっちだったぼくは、多勢の他テイムのなかに雑ると、余計さびしく、出帆してから二三日、練習以外の時間は、ただ甲板を散歩したり、船室で、啄木を読んだり、船室が、相部屋の松山さん、沢村さんに占領されているときは、喫煙室で、母へ手紙を書いたりしていました。
故国を離れてから三日目、ぼくは恥かしい白状をしなければなりません。