Classiques japonais avec furigana
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カキツバタいっかげん
カキツバタ一家言
牧野 富太郎
Lisez カキツバタ一家言 (カキツバタいっかげん) de 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 735 caractères · 11 écrans
なんとならばカキツバタは断じて燕子花ではないからである。しからばすなわち世間一般の衆にそむいて、かくそれを否定する根拠がどこにあるのかと尋問せらるれば、すなわち私は躊躇なくただちにそれはここにあると即答する。すなわち今次にこれを述べてみよう。
カキツバタでは決してないぞとすべからく断定すべき燕子花の名は、元来宋の時代の朱輔(桐郷の人で字は季公)という人の著わした『渓蛮叢笑』と題する書物に出ていて、その文は
紫花にして全く燕子に類し藤に生ず一枝に数葩(漢文)
ですこぶる簡単しごくなものである。が、しかしその性状はまことによく言い尽している。そしてこの燕子花には紫燕ならびに煙蘭という別名がある。
今ここに上の『渓蛮叢笑』の文とカキツバタの形状とを対照してみると、その間に截然たる相違点があって、その燕子花が決してカキツバタにあたっていないことがただちに看取せられる。このことは今から二百十五年前の享保十三年に『本草綱目補物品目録』(出版は宝暦二年)で、初めて後藤※(「犂」の「牛」に代えて「木」、第4水準2-14-90)春が『渓蛮叢笑』に載っている燕子花は藤生でカキツバタには合わぬと喝破し、また畔田翠山もかれの『古名録』