Classiques japonais avec furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lisez キャラコさん de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 767 caractères · 54 écrans
キャラコさんは、これだけのことで、この四人の連中が、今までどんな無頓着な日常を送っていたか、なにもかもわかるような気がした。
仕事に魂をうばわれた、この狂人いじみた科学者たちは、まともな食事をするのをめんどうくさがって、朝も晩も乾麺麭ばかり喰べてすましているのにちがいなかった。四人の仕方で、それがはっきりとわかるのである。
キャラコさんが、やさしく訊問した。
「ずいぶん手軽にすみましたね。……けさは、なにをお喰りになったの?」
黒江氏が、大儀そうに、こたえた。
「なに、って、いつもの通りです」
「いつもの通りって?」
「つまり、いま喰べたようなもの」
「その前の日は?」
「べつに、変わったことはありません」
「それで、お炊事なんか、どうなさるの?」
黒江氏は、ふしぎそうな顔で、キャラコさんのほうに振り返りながら、
「お炊事、って、なんのことです」
「ご飯なんか、どんなふうにしてお炊きになるの」
「ああ、その事ですか。……飯なんか炊いたことはありませんよ。米は持っているには持っているんですが、とても、そんな時間がないもんだから」
「すると、毎日、朝も夜も乾麺麭ばかり喰べているってわけなのね」