Classiques japonais avec furigana
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クロイツェル・ソナタ
クロイツェル・ソナタ
米川 正夫
Lisez クロイツェル・ソナタ de 米川 正夫 (よねかわまさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 360 caractères · 7 écrans
これを前期の豊麗を極めた代表的長篇に比べても、ほとんど遜色のない芸術的価値を有するのみか、比較的短い形式に圧縮せられて、まさしく爆薬の如き力を蔵しているところからいえば、優に前者を凌ぐものさえある。ロマン・ロランがこの小説をもってトルストイ作中の第一に挙げたのも、あながち奇をてらった言葉とばかりいえないかも知れぬ。
『クロイツェル・ソナタ』の内容は、すでに一般に知られている通り、嫉妬のために不貞の妻を殺した不幸な男の告白を筋として、現代社会の男女関係、結婚問題、性欲問題を、痛烈骨を抉るが如き筆をもって、縦横無尽、完膚なきまでに解剖し、批判したものである。この小説が社会に及ぼした反響は非常なもので、讃嘆、驚愕、畏怖、罵詈、呪詛の声が、あらゆる方面に入り交り、乱れ合いつつ、果しなく波紋を拡げて行ったのでも、その未曾有の効果が想像される。芸術的描写の点においても、殺人者の心理――兇行前の煩悶、その瞬間の狂憤、その後の失神状態、すべてが測り知れぬ深刻さと、正確さをもって描破されており、ドストエーフスキイの『罪と罰』以外に較ぶべきものを知らぬほどである。むしろ事件が単純で、ありふれているだけに、『罪と罰』