Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

シナーニしょてんのベンチ

シナーニ書店のベンチ

宮本 百合子

Lisez シナーニ書店のベンチ (シナーニしょてんのベンチ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 387 caractères · 15 écrans

Aozora Bunko

直ぐ紐を剪り、ガワガワ云わせて包紙を開き、中から本を取り出した。私の道伴れは、本を手にとり、真中ごろを開き、表紙を見なおし、彼女の善良な、上気した、齦の出る笑を笑った。その顔を見て、私はもっと笑う。

――でも……小ッちゃなものに成っちゃったねえ。

――いいことよ、決してわるくなくてよ。

――わるくない? 本当に?

――本当に!

私は、なお坐りつづけて読み、読む。そして、私のすぐ傍で暖房のうねうねの上に腰かけ、やはりその本の一冊を読んでいる彼女に向って断言する。

――本当に、よくてよ。「お前」になってからなんか、調子があるわ。

我々の読んでいる本は、チェホフ全集第十巻「妻に送ったチェホフ書簡集」で、新潮社がモスクワにいる訳者に送ってよこしたものだ。モスクワにいる訳者は、今、高加索の靴を爪先にぶらつかせて、私の傍の暖房に腰かけている。

これは、小さい本だ。量において世界的記録を有する日本の夥しい翻訳本の一つだ。この本も、他の多くの仲間とともに二年後には南京豆の紙袋と化して夜店に現れるだろうか。くだらない本だろうか。私はそうは思わぬ。この本が、ボリソフから届いて始めて訳者の机の上に載せられた時から、我々は共通な興味を感じた。