Classiques japonais avec furigana
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ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lisez ドグラ・マグラ de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 424 847 caractères · 824 écrans
その顔は真黒く秋日に焦けている上に、連日の労働に疲れ切っているらしく、見違えるほど窶れてしまって、眼ばかりがギョロギョロと光っている。流るる汗は止め度もなく、喘ぐ呼吸は火焔のよう……殊に、その手に杖ついている鍬の刃先が、この数十日の砂掘り作業の如何に熱狂的に猛烈であったかを物語るべく、波形に薄く磨り減って、銀のようにギラギラと輝いている物凄さ……生きながらの焦熱地獄に堕ちた、亡者の姿とはこの事であろう。
その呉一郎はやがて又、何者かに追いかけられるように、真黒な腕で鍬を取り直した。新しい石英質の砂の平地に、ザックとばかり打ち込んで別の穴を掘り初めたが、そのうちに大きな魚の脊椎骨を一個掘り出すと、又急に元気付いて、前に倍した勢いで鍬を揮い続けるのであった。
舞踏狂の女学生が、呉一郎の背後に在る大きな穴の一つに落ち込んで、両足を空中に振りまわしながら悲鳴をあげた。ほかの患者たちが手を拍って喝采した。
しかし呉一郎は、ふり向きもせずに、なおも一心不乱に掘って掘って掘り続けて行くと、やがて今度は何か眼に見えぬものを掘り出したらしく、両手の指でしきりに捻ねくっていたが、すぐに鍬を取り直して、眼を火のように光らし、白い歯を砕けるほど噛み締めつつ、死に物狂いの体で足の下を掘り返しはじめた。