Classiques japonais avec furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lisez ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 357 caractères · 27 écrans
最近は右の前足の付けねに腫物をでかして弱っとりますが、なんの、カルグの、アルルの、そこらの病み牛が束になって来たとて、びくともするものでごわせんわい。……いま、ここへ引き出しまするから、とっくりごらんなさるがようごわす」と、いって使童を招いて、何か小声で囁くと、やがて牧童が柵の木戸をあけて牛を一匹追い出して来た。
「さ、これが自慢のヘルキュレスでごわす」
二人が振り返って見ると、赤煉瓦色の、まるで駱駝のような奇妙な瘤を背中にくっつけた跛の牛だから、タヌは驚いて、
「あら、でもヘルキュレスというのは、頭から尻尾まで真白な立派な牛だってことですが、……でもこの牛は赤いですわ」というと会長は丸い顔をつるりと撫で、
「なアに、こいつは今朝から赤大根の喰いづめで、それにそれ、赤葡萄酒の生一本を二升ばかりやったのでこんなに赤くなったのでごわす」といった。
五、犬にも徳育、豚にも愛嬌、されば牛にはご修身。『闘牛学校』という看板のかかったアーチ形の入口についていた呼鈴を押すと、出て来たのは、寸詰りのモオニングを着た五尺未満のチョビ髯の紳士はこちらが述べる用向きを途中から引ったくって、