Classiques japonais avec furigana
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ピストルのつかいかた
ピストルの使い方
泉 鏡花
Lisez ピストルの使い方 (ピストルのつかいかた) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 100 caractères · 78 écrans
」
「…………」
「そうね、ほんのりと雲と波が明くなったッて言いましょうか。それッていうのが、近常さんの一代の仕事として、博覧会へ出品しようとおもくろみなすったのが、尺まわりの円形の釣香炉でしたとさ。地の総銀一面に浮彫の波の中に、うつくしい竜宮を色で象嵌に透かして、片面へ、兎を走らす。……蓋は黄金無垢の雲の高彫に、千羽鶴を透彫にして、一方の波へ、毛彫の冴で、月の影を颯と映そうというのだそうですから。……
黄金の雲なんか真先よ。――銀の波も……こうなると、水盃だわね、疾のむかし、お別れになって、灰神楽が吹溜ったような、手づくねの蝋型に指のあとの波の形の顕われたのを、細工盤に載せたのを、半分閉じた目で熟と見まもって、ただ手は冴えても、腕は鳴っても、遣場のない鉄鎚を取りしめて……火鉢に火はなし、氷のように。
戸外は大雪よ、貴方。
……あら、簪が揺れるわ、振落そうとするんじゃあなくって?……邪慳よ。そうしといて頂戴、後生だから。
一時、……無念、残念に張詰めた精もつきて、魂も抜けたように、ぐったりとなったのが、はッと気が着いて、暗い間の内を見なさいますとね、向う斜の古戸棚を劃った納戸境の柱に掛っていた、時計がないの。