Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

フレップ・トリップ

フレップ・トリップ

北原 白秋

Lisez フレップ・トリップ de 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 698 caractères · 293 écrans

Aozora Bunko

小樽を出る時、私は小田原の妻子へ、こう打電したものだ。つい三、四時間前のことであった。私たちは一旦着換を済ますと、しばらくは右舷へ集って、応接に遑もない鮮緑色の海岸線を物珍らしく楽しんでいたが、一人減り二人減りすると、私もまた左舷の自分たちの甲板へ還って来た。其処には先きにいったように遥々とした大洋があった。あの光のない、ただ明るいだけの波濤の連続が。

その波濤の面の金と紅とが乳黄となり、やや寒い瓏銀となり、ブリュブラックとなり、重く暗くなり、そうして今は舷下の飛沫と潮とがただ白く青く駛って、擾れて、機関部の汚水がタッタッと吐き出されてゆく。

一寸したウイスキイの酔は、すぐにも発散したし、湯上りのやや肌寒を感ずるところへ、明日はいよいよ樺太だと思うと、何か気も昂れば、引き緊っても来る。

「おい、何を考えてる。」

こうした時、ぽんと肩でも叩かれたら、私は恐らく顔を赤めたであろう。

「郷愁だな。」

そうしたものだろうなと私は私自身にも答えても見た。

私ばかりでなく、これは籐椅子、木の椅子、安楽椅子のこれらの一列の人々の凡ての顔にも表われている。

おおいおおいと誰やらが