Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

モスクワのつじばしゃ

モスクワの辻馬車

宮本 百合子

Lisez モスクワの辻馬車 (モスクワのつじばしゃ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 305 caractères · 17 écrans

Aozora Bunko

の冒険」を観るために写実劇場の椅子に間違いなく坐ってなければならないのだ。しかもぎりぎり七時まで、彼女が両腕にものを抱えて歩道へ飛び出した扉の奥、三階の73という室で何をしていたかと云えば、日本女は床へころがした行李の前へ膝をつきながら正体の知れない白い粉にむせてくさめをしていた。慢性的にとり散らされた室の中ではタイプライターの音がせかせか響き、こんな日本語が聞えた。

――どうしてぐずぐずしてるのさ繩がかからないの?

――切れちゃうのよ、この繩! おまけにこら! 毒じゃないかしらん、この粉――

――支那の繩って奇妙なもんだな。じゃ、そっちの錠だけかけといてもう行くといいわ!

錠をかけたのは四角い大きな樺の木箱だ。それは明日モスクワから日本へ向って送り出されるべきものだ。――日本女そのものがいよいよ明日はモスクワを去ろうとしているのだ。

左の方にプーシュキン記念像がある。有名なマントをひっかけてたたずんでるプーシュキンの頭は、街燈、電車のポール、並木道の冬木立の梢などの都会的錯綜の間にぼんやり黒く見える。

――右かね、左かね?

御者の声に日本女は、