Classiques japonais avec furigana
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ラしのふえ
ラ氏の笛
松永 延造
Lisez ラ氏の笛 (ラしのふえ) de 松永 延造 (まつながえんぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 706 caractères · 18 écrans
」と、彼れが頑固に返答した。そして何事かをパーリ語で唱えては、体を前後に揺するのであった。
七
再び美しい月の夜が来た。
私は以前に一度経験したと全然同じ情景を、月光の下に見出して少からず驚かされた――ラ氏が唯だ一人で、物干し台の鉄の梯子をよじ登ろうとしていたのである。私は長い廊下を急いで、彼れの跡を追って行った。そして、広く冷たい天空の直下で、漸く彼れと向き合う事が出来た。
「骸骨が斯んなに歩きます。」彼れは弁解するというより、寧ろ、陳謝する如く、そう私へ囁いた。私はその一言を聴くと、最早何んな難詰の言葉を見出す力をも失った。そして、この夜こそ、恐らく、彼れが大きな天空を眺めて楽しむ最後の時となるだろうという事を、独り黯然と予覚するのであった。
この美しい月光の宵、私と彼れとは短い時間の内で、極めて多くを語り合った。
色々な会話の中で、殊に私の注意を惹いた部分は次の三つに他ならなかった。
ラオチャンドは言った――
「私の手に手袋がはまっている。私が手を動かすと、手袋も斯んな風に動く。然し、(此処でラ氏は手袋をぬいだ。)手から引き離すと、労れたようにうなだれて、もう決して動かない。