Classiques japonais avec furigana
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レモンのはなのさくおかへ
レモンの花の咲く丘へ
国枝 史郎
Lisez レモンの花の咲く丘へ (レモンのはなのさくおかへ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 016 caractères · 142 écrans
夜はこの脚本の舞台であります。この脚本には短ホ調の音楽と、短嬰ヘ調の音楽とが入ります。尚その他いろいろの楽器、例えば死せる人を弔う鐘、遂げられざる恋の憂いを洩らす憐のバイオリン、悪魔の誘惑を意味する銀の竪琴、騎士の吹く角の笛、楯につけたる鉄と真鍮の喇叭、そして波も松風も嘶く駒も、白き柩と共に歌う小供等も、楽器と云えば云えましょう。――これらの楽器がはいります。この脚本には「死に行く人魚」の歌が歌われます。嫉妬よりの契約が交わされます。海と自由と、幻のような舟と、舟の中の音楽と、音楽を奏した未知の若者とを恋うる少女が現われます。この少女は恋の贈物として深山鈴蘭の純潔の花を愛さずに、暗の手に培われた、紅の薔薇を愛します。(と自分の胸より紅薔薇を抜き取り観客に見せ)このような罪の贈物を愛します。(花を床上に投げ棄て)かくて少女は恋の獲物を失います。
過去の恋をなつかしむあまり、恋の記念に造った音楽堂は、対岸の絶壁の上に立てられ、悲劇はその堂内で演じられます。譬えその悲劇が諸君の御眼には見えずとも、諸君は必ず憐れと覚しめすでしょう。悲劇の主人公は、美しい少年であります。