Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぼくのぼうしのおはなし
一房の葡萄 他四篇
有島 武郎
Lisez 一房の葡萄 他四篇 (ぼくのぼうしのおはなし) de 有島 武郎 (ありしまたけお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 712 caractères · 39 écrans
の方を向きませんでした。そしてしっかりその前に来てから、「ばあ」をするように、急に上を向いて見ました。おとうさんの茶色の帽子だけが知らん顔をしてかかっていました。あるに違いないと思っていた僕の帽子はやはりそこにもありませんでした。僕はせかせかした気持ちになって、あっちこちを見廻わしました。
そうしたら中の口の格子戸に黒いものが挟まっているのを見つけ出しました。電燈の光でよく見ると、驚いたことにはそれが僕の帽子らしいのです。僕は夢中になって、そこにあった草履をひっかけて飛び出しました。そして格子戸を開けて、ひしゃげた帽子を拾おうとしたら、不思議にも格子戸がひとりでに音もなく開いて、帽子がひょいと往来の方へ転がり出ました。格子戸のむこうには雨戸が締まっているはずなのに、今夜に限ってそれも開いていました。けれども僕はそんなことを考えてはいられませんでした。帽子がどこかに見えなくならない中にと思って、慌てて僕も格子戸のあきまから駈け出しました。見ると帽子は投げられた円盤のように二、三間先きをくるくるとまわって行きます。風も吹いていないのに不思議なことでした。