Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いっぽんのはな
一本の花
宮本 百合子
Lisez 一本の花 (いっぽんのはな) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 709 caractères · 55 écrans
幸子と二人で家を持つと決ったとき、大平は、
「よし……家探しは僕が引受けてあげましょう。どうせ学校のまわりだろう? そんならお手のもんだ」
と云った。
「隣りへ空いたなんて云って来たって行きませんよ、五月蠅くてしようがありゃしない」
すると、まだ四五遍しか会っていなかった朝子を顧み、大平は、敏感な顔面筋肉の間から、濃やかな艶のある、右と左と少しちんばなような、印象的な眼で笑いかけた。
「念を押すところが未だしも愛すべきですね。『姦し』に一つ足りないなんてもの、まあこちらから願い下げだ」
或る二月の午後、幸子から電話がかかり、朝子も出かけ、この家を見た。雪降り挙句で、日向の往来は泥濘だが、煉瓦塀の下の溝などにまだ掻きよせた雪があった。そんな往来を足駄でひろって行くと、角の土管屋の砂利の堆積の上に、黒い厚い外套を着、焦茶色の天鵞絨帽をかぶった大平が立って待っていた。
「この横丁が霜解けがひどそうで御難だが、悪くないでしょう? こちら側が果樹園なのは気が利いている」
溶け残った雪が、薄すり果樹園一面に残っていて、日光に細かくチカチカ輝いていた。青空から、快晴な雪解の日につきものの風が渡って、杉の生垣を吹き、朝子のショウルの端をひるがえした――。